大手化学メーカー「旭化成」から半導体関連の営業秘密が流出した事件で、元社員の男が不正競争防止法違反の疑いで逮捕されました。
この記事では、逮捕された犯人の経歴や人物像、営業秘密が持ち出された具体的な手口、情報の流出先である中国企業、家宅捜索から判明した発覚の経緯、そして旭化成側の対応や民事訴訟の方針まで分かりやすく解説します。
【犯人】逮捕された旭化成の元社員・古川祥一容疑者とは?

大手化学メーカーである旭化成株式会社から、技術情報などの営業秘密が外部へ流出した事件。
愛知県警によって不正競争防止法違反(営業秘密の開示など)の疑いで逮捕・送検されたのは、同社の元社員である古川祥一(ふるかわ しょういち)容疑者です。
まずは、古川容疑者のプロフィールや旭化成での経歴をまとめました。
古川祥一容疑者のプロフィールと経歴
| 詳細内容 | |
| 氏名 | 古川 祥一(ふるかわ しょういち) |
| 年齢 | 66歳 |
| 住所 | 静岡県富士市 |
| 逮捕容疑 | 不正競争防止法違反(営業秘密の開示など)の疑い |
| 認否 | 警察は認否を非公表 |
| 旭化成での社歴 | 1984年入社 〜 2018年11月退職 |
| 担当業務 | 電子材料関連の開発業務(元開発責任者) |
| 退職後の足取り | 名古屋市内の化学メーカーなどの別企業へ転職・在籍 |
長年技術開発を担った元開発責任者
古川容疑者は1984年に旭化成に入社して以来、長年にわたって電子材料関連の研究開発業務に携わっていました。
社内では開発責任者という重責を担う立場にあり、重要技術や機密情報に日常的にアクセスできる立場にありました。
約34年間にわたり勤務したのち、2018年11月に旭化成を退職。退職後は、名古屋市内にある別の化学メーカーをはじめとする企業へ転職し、在籍していたことが分かっています。
長年会社に貢献し、技術の根幹を知り尽くしていた元開発責任者が、退職を機に営業秘密を持ち出していた疑いが持たれており、社会に大きな衝撃を与えています。
なお、警察は古川容疑者の認否について現時点では明らかにしていません。
【手口】営業秘密はどのように持ち出され、漏洩したのか?
今回の事件で流出した技術情報は、旭化成にとっても極めて重要な営業秘密でした。
どのような情報が、どのような手法で持ち出され、流出するに至ったのでしょうか。
持ち出しから漏洩までの流れと、流出した情報の内容は以下の通りです。
流出した営業秘密と持ち出し・漏洩の手口
| 内容 | |
| 対象の製品 | 接着剤・硬化剤「ノバキュア」の製造・原料情報 |
| 技術の用途 | 半導体製造、電子部品、自動車、土木分野など |
| 情報の機密性 | 旭化成内部でも一部の社員しかアクセスできない限定情報 |
| 持ち出しの手口 | 2018年11月末の退職時、ハードディスク等の記録媒体を返却せず持ち出し |
| 漏洩の手口 | 2024年9月中旬、メールを使用して海外企業関係者に送信・漏洩 |
| 他社情報の保管疑惑 | 押収されたHDDから、旭化成の別製品や他企業の営業秘密も複数発見 |
極秘情報の持ち出しとメールによる送信
流出したのは、半導体の製造プロセスをはじめ、電子部品や自動車、土木など幅広い産業分野で使用されている接着剤・硬化剤「ノバキュア」の製造方法や原料に関するデータです。
この「ノバキュア」に関する情報は、旭化成の社内でもごく一部の限られた社員しかアクセス権限を持たない厳重な管理対象でした。
警察の調べによると、古川容疑者は2018年11月30日ごろに旭化成を退職する際、営業秘密が記録されたハードディスクなどの記憶媒体を会社に返却せず、不正に持ち出しました。
そして退職から約6年が経過した2024年9月13日ごろ、その持ち出したハードディスク内のデータを電子メールに添付し、海外企業の関係者へ送信して開示・漏洩させた疑いが持たれています。
別製品や他企業の営業秘密も発見される
警察が捜査の一環として古川容疑者の自宅から押収したハードディスク等の記録媒体を詳しく解析したところ、今回の「ノバキュア」に関する情報だけでなく、旭化成が手掛ける別の製品データや、転職先など他企業の営業秘密にあたる複数の製品情報も保管されていたことが判明しました。
警察は、これらの別製品や他社の技術情報についても外部へ流出していなかったかどうか、余罪や疑惑の解明に向けて捜査を継続しています。
【流出先】情報はどこへ渡った?発覚のきっかけは?
重要技術の流出先は一体どこだったのでしょうか。
また、退職から数年が経過した今回の事件がなぜ発覚したのか、そのきっかけと経緯について解説します。
流出先と事件発覚のタイムライン
| 出来事・捜査の経緯 | |
| 2018年11月 | 古川容疑者が旭化成を退職(ハードディスク等を持ち出し) |
| 2024年8月 | 古川容疑者の転職先(名古屋市の化学メーカー)が別件の営業秘密漏洩について警察へ相談 |
| 2024年9月 | 古川容疑者がメールで営業秘密を送信・漏洩 |
| 2025年4月 | 愛知県警が古川容疑者の自宅を家宅捜索(スマホ、PC、HDD等を押収) |
| 解析後 | 押収品のデータ解析により、旭化成からの情報漏えい容疑が浮上・逮捕 |
| 流出先の判明 | 旭化成の確認により、送り先が中国の化学メーカーと特定 |
情報の送り先は「中国の化学メーカー」
旭化成側の確認によると、古川容疑者がメールで送信した営業秘密の流出先は、中国の企業(中国の化学メーカー)であることが判明しています。
日本の大手化学メーカーが長年培ってきた半導体関連の先端材料技術が、海外の競合メーカーに渡っていた形となります。
発覚の端緒は「転職先企業からの別件相談」
今回の旭化成の情報漏えい事件が発覚した背景には、古川容疑者が退職後に移籍した「転職先企業」でのトラブルがありました。
2024年8月、古川容疑者が当時在籍していた名古屋市内の化学メーカーから、「社内の営業秘密が漏洩しているかもしれない」という相談が愛知県警に寄せられました。
この相談を受けた警察は捜査を開始し、2025年4月に古川容疑者の自宅への家宅捜索に踏み切ります。
家宅捜索の際にスマートフォンやパソコン、ハードディスクなどの電子機器を押収。
警察がこれらの押収品をデジタルフォレンジック(電子データの解析)によって詳しく調べた結果、転職先企業のデータだけでなく、過去に在籍していた旭化成の営業秘密が外部へメール送信されていた事実が発覚しました。
警察は今後、古川容疑者が情報を渡した見返りとして金銭などの対価を受け取っていたのかどうかを含め、詳しい動機や経緯の全容解明を進めています。
旭化成の対応と今後の展開
自社の極秘技術が国外の企業へ流出するという被害を受けた旭化成は、迅速な法的措置と体制強化を発表しています。
旭化成が発表した対応策
| 具体的な対応内容 | |
| 民事訴訟 | 中国企業等を相手取り、流出情報の利用停止および廃棄を求める民事訴訟を起こす方針 |
| 公式発表 | 「皆さまに多大なご迷惑と心配をおかけし、深くおわび申し上げる」と陳謝 |
| 再発防止策 | 社内の再発防止策を徹底 |
| ガバナンス | コンプライアンス教育の強化、ガバナンスおよび企業倫理の再徹底 |
中国企業への民事訴訟と損害拡大の防止
旭化成は、流出した技術が不正に使用されることを防ぐため、情報の流出先である中国企業等を相手取り、流出させた営業秘密の利用停止やデータの廃棄を求める民事訴訟を起こす方針を固めました。
技術の不正利用による自社の不利益や市場での競合被害を最小限に抑えるための厳しい法的措置をとる姿勢を示しています。
また、同社は事件の発覚を受けて「関係者の皆さまに多大なご迷惑とご心配をおかけし、深くおわび申し上げます」と公式に陳謝しました。
今後は、二度とこのような事案が発生しないよう、情報アクセス権限の見直しや退職時の情報持ち出し防止策などの再発防止策を徹底するとともに、全社的なコンプライアンス教育やガバナンス・企業倫理の強化に取り組むことを表明しています。
まとめ
今回の旭化成における営業秘密流出事件の要点を改めてまとめます。
事案のポイントおさらい
| 事件の要点 | |
| 逮捕された犯人 | 旭化成の元開発責任者・古川祥一容疑者(66歳) |
| 流出情報 | 接着剤・硬化剤「ノバキュア」の製造・原料に関する営業秘密 |
| 持ち出し・漏洩の手口 | 2018年退職時にHDD等で不正持ち出し、2024年9月にメールで送信 |
| 情報の流出先 | 中国の化学メーカー(中国企業) |
| 事件発覚のきっかけ | 転職先(名古屋の化学メーカー)からの別件相談に伴う家宅捜索・押収品解析 |
長年にわたり企業の要として技術開発を支えてきた元開発責任者が、退職時に重要データを持ち出し、数年後に海外企業へ漏洩させるという極めて深刻な事案となりました。
技術革新が進む現代において、退職者の情報セキュリティ管理や社内ガバナンスのあり方、重要な営業秘密をどのように守っていくべきかという企業側のリスク管理能力が、今後一層問われることになりそうです。


は何者?経歴から河合郁人との交際スクープまで!-1.png)
