バケモノの子は声優がひどいと話題。広瀬すずほか俳優起用はなぜ?

テレビ

11月14日 金曜 21:00 日テレで、細田守監督作品の「バケモノの子」が放送されます!

「バケモノの子」といえば2015年に公開され、興行収入58.5億円を叩き出した、まさに「バケモノ作品」であり、細田作品を語る上で、なくてはならない名作でもあります。

しかし、「バケモノの子」に不満の声が全くないわけではありません。
数ある不満の中で最も多いのが「キャラクターボイスへの不満」で、これは主に俳優メインのキャスティングに原因があるとされています。

なぜ俳優のキャスティングが原因なのでしょうか?

ということで今回は、「バケモノの子」の「キャラクターボイスへの不満」と、その原因について調べてみます。

バケモノの子のキャラクターボイスへの不満

「バケモノの子」は豪華俳優陣が名を連ねている一方で、公開当時から現在に至るまで、インターネット上ではキャラクターボイスに関する厳しい意見が散見されます。

熊徹(役所広司さん)の声が低すぎて聞き取りづらい

九太の少年期(宮﨑あおいさん)は良かったが、青年期(染谷将太さん)は違和感がある

一部のキャラクターで、俳優さんの「素」の声が強すぎて、キャラクターが頭に入ってこない

プロの声優に比べて、演技がアニメのテンポや間に合っていないように感じる

特に主人公の一人である熊徹を演じた役所広司さんや、九太の青年期を演じた染谷将太さんなど、主要キャストに対する賛否の声が目立ちます。

普段アニメを見慣れている層にとっては、独特の「声優の演技」に慣れているため、実写畑の俳優の演技に違和感を覚えることが多いようです。

メインキャスト(主な俳優陣)

実際に主要なキャラクターを演じたキャストを見てみましょう。

プロの声優は、一郎彦の青年期を演じた宮野真守さんや、二郎丸の青年期を演じた山口勝平さんなど、一部のキャラクターに起用されていますが、中心は俳優が占めています。

キャラクター名キャスト名主な活動
熊徹役所広司俳優
九太(少年期)宮﨑あおい俳優
九太(青年期)染谷将太俳優
広瀬すず俳優
多々良大泉洋俳優/タレント
百秋坊リリー・フランキー俳優/作家
一郎彦(少年期)黒木華俳優

不満の原因考察

なぜ、これほどまでにキャラクターボイスへの不満が出るのでしょうか。

その原因は、細田守監督の独特なアフレコ(声の収録)手法と、作品に込めるリアリティへのこだわりにあると考察されます。

1. 「声の芝居」と「演技の芝居」の違い

プロの声優は、画面の動きやキャラクターの感情を「声の技術」で表現することに長けています。

対して俳優は、表情や身体の動きを含めた「全身の芝居」を主戦場としています。

細田監督は、役者に「キャラクターを演じるのではなく、キャラクターとして存在する」ことを求めているとされます。

その結果、セリフ回しや声のトーンが、アニメ特有の誇張された表現ではなく、より日常的なリアリティを帯びることになり、それが視聴者にとって「声優らしくない」「違和感がある」という感想につながっていると思われます。

2. 細田監督のこだわり

細田監督は、プロの声優が通常行うようなセリフごとの個別収録(アフレコ)ではなく、キャストが一堂に会して行う同時収録を重視しています。これは実写映画の撮影に近い手法です。

監督は「プロの声優さんは技術があるからセリフを別々に録ることができるが、そうすると相手の芝居を受けられない。セリフは絶対に同時に録らないとダメ」と語っています。

また、監督はキャスティングの理由として、役者の「」(キャラクターの雰囲気や人間性)を非常に重視していることも明かしています。

役者の持つ「」や「人となり」がキャラクターに伝わることを期待しており、単に声の技術が高いことよりも、その役者の持つ雰囲気がキャラクターに合致しているかを重視しているのです。

この「同時収録による生の芝居」と「役者の人間性の投影」へのこだわりが、アニメらしい「型にはまった声の演技」を期待する層との間に、評価のギャップを生む原因になっているとも言えそうです。

参考:シネマトゥデイ

なぜ俳優を起用するのか?

細田監督が俳優をメインに起用する理由は、単に話題性だけではありません。

上記で述べたリアリティへの追求に加えて、細田作品のテーマと密接に関わっています。

生々しい「人間」の表現

細田監督の作品、特に「おおかみこどもの雨と雪」「バケモノの子」といった、現実世界と異世界(あるいは非日常)が交差する作品では、「人間とは何か」「家族とは何か」という生々しいテーマが描かれます。

プロの声優が演じると、時にキャラクターが「記号化」され、アニメの世界観に馴染みすぎることで、テーマの核にある「生々しい人間性」が薄れてしまう可能性があります。

一方で、実写で活躍する俳優が演じることで、セリフの一つ一つに生活感や人間らしい葛藤が滲み出て、アニメーションでありながらドキュメンタリーのような「生きた実感」が生まれるため、監督は違和感を承知で、あえて俳優を起用しているではないでしょうか。

俳優の起用に肯定の声

批判的な意見が多い一方で、細田作品における俳優の起用を高く評価する声も存在します。

熊徹の不器用で粗暴だが情深い感じが、役所さんの声で非常にリアルに伝わってきた

俳優さんの演技だからこそ、アニメがまるで実写映画を見ているような没入感があった

声優の技に頼りすぎず、役者自身の声と感情で勝負しているのが清々しい

まとめ

  • 映画『バケモノの子』は、役所広司さん、宮﨑あおいさん、染谷将太さん、広瀬すずさんといった豪華俳優陣がメインキャストを務めています。
  • 「声が聞き取りにくい」「アニメの芝居に合っていない」といったキャラクターボイスへの不満は、主にアニメを見慣れた層から上がっているようです。
  • 不満の原因は、細田監督の「同時収録」へのこだわりや、声の技術よりも「役者の人間性」を重視するキャスティング方針にあり、これがリアルで生々しい演技となり、賛否両論を呼んでいます。
  • しかし、この俳優起用こそが、作品のテーマである「人間性の追求」にリアリティを与え、アニメーションでありながら実写のような「生きた」キャラクターを描くことに成功していると、肯定的に評価する声も多くあります。

今回のテレビ放送では、この賛否両論ある「声」にも注目して視聴してみると
作品の新たな魅力に気づけるかもしれませんね。

では、今回はこの辺で。

タイトルとURLをコピーしました