イギリスを代表する名優サー・パトリック・スチュワートさんが86歳で逝去されました。

本記事では、公表された死因や病名、最愛の家族に囲まれた最期の様子をはじめ、『スタートレック』や『X-MEN』といった代表作での功績、ギネス世界記録の達成、舞台俳優としての華々しい受賞歴、そして日本で彼を支えた豪華な日本語吹き替え声優陣について詳しく解説します。
米ロサンゼルスの自宅で86歳の生涯に幕
イギリス出身の世界的名優サー・パトリック・スチュワート(Sir Patrick Stewart)さんが、2026年10月28日、米カリフォルニア州ロサンゼルスの自宅で息を引き取りました。86歳でした。
スチュワートさんは、演劇および映画の分野で60年以上にわたり第一線で活躍し続けた名優です。
SF映画の金字塔『スタートレック』シリーズのジャン=リュック・ピカード艦長役や、マーベル映画『X-MEN』シリーズの指導者チャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)役など、世界的ヒット作の看板キャラクターを長年演じ切り、世代を超えて世界中のファンから深く愛されました。
死因・病気と最期の様子
公式Xアカウントを通じて代理人が発表した声明によると、死因はアルツハイマー病およびレビー小体型認知症でした。
短くも厳しい闘病生活の末の旅立ちであったと明かされています。
スチュワートさんの最期は、最愛の妻であるサニー・オゼル(Sunny Ozell)さんの温かい介護のもと、家族や親しい友人たちに囲まれたものでした。
温かい抱擁、生演奏、祈り、そして涙と笑いに包まれながら、彼は安らかに息を引き取ったと伝えられています。
代理人のコメントでは、最期の彼の表情には深い安らぎと静謐さが漂っており、彼が生涯持ち続けた不屈の気品を象徴していたと語られています。
代表作①:『スタートレック』シリーズ(ピカード艦長)
パトリック・スチュワートさんの名前を世界的に不動のものとした最大の代表作が、テレビドラマ『新スタートレック』(1987年〜1994年)です。
彼が演じた理性的で気品あふれるジャン=リュック・ピカード艦長は、世界中のSFファンを魅了し、一躍国際的な大スターへと押し上げました。
テレビシリーズ終了後も劇場版映画で同役を演じ続けたほか、2018年には映画『ネメシス/S.T.X』(2002年)以来、約17年ぶりにピカード役に復帰することが発表され大きな話題となりました。
主演および製作総指揮を務めた配信ドラマ『スタートレック:ピカード』(2020年〜2023年)では、年月の重みを感じさせる熟練の演技を披露し、長年作品を愛してきたファンへ見事な締めくくりを届けました。
| タイトル | 放送・公開年 | 役柄とポジション | 特記事項 |
| 新スタートレック | 1987〜1994年 | 主演:ジャン=リュック・ピカード艦長 | 世界的大ブレイクのきっかけとなったTVシリーズ |
| 劇場版『スタートレック』作品 | 1994〜2002年 | 主演:ジャン=リュック・ピカード艦長 | 『ジェネレーションズ』から『ネメシス/S.T.X』まで出演 |
| スタートレック:ピカード | 2020〜2023年 | 主演・製作総指揮:ピカード役 | 約17年ぶりの復帰を果たした晩年の傑作シリーズ |
代表作②:『X-MEN』シリーズ(プロフェッサーX)
『スタートレック』と並ぶもう一つの代表的なハマり役が、2000年公開の映画『X-メン』で初登場したチャールズ・エグゼビア(プロフェッサーX)です。
強力なテレパシー能力を持つミュータントであり、ミュータントと人類の平和的共存を目指す指導者として、シリーズ全体を支える不可欠な存在となりました。
特に『X-MEN』シリーズでの長年の活躍は、映画史に残る記録として讃えられています。
2017年の映画『LOGAN/ローガン』公開時には、2000年の第1作から16年232日にわたって同役を演じたとして、ウルヴァリン役のヒュー・ジャックマンと共に「最も長期でマーベルのキャラクターを演じた実写俳優」としてギネス世界記録に認定されました。
さらに2022年、映画『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』にサプライズ出演を果たし、記録を21年296日まで伸ばして自らギネス記録を更新しました。
| 作品名 | 役名 | ギネス記録・話題性 | |
| 2000年 | X-メン | チャールズ・エグゼビア | シリーズ第1作。 プロフェッサーX役に初抜擢 |
| 2017年 | LOGAN/ローガン | チャールズ・エグゼビア | 「最も長期でマーベルキャラを演じた俳優」としてギネス初認定(16年232日) |
| 2022年 | ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス | チャールズ・エグゼビア | MCU作品への出演を果たし、ギネス記録を自身で更新(21年296日) |
舞台でのルーツと数々の受賞歴
ハリウッドの超大作で知られるスチュワートさんですが、その演技の根底には名門劇団で培われた圧倒的な演劇の技術と実績がありました。
1966年にイギリスを代表する名門劇団ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)に入団した彼は、シェイクスピア劇の看板俳優として数々の舞台に立ちました。
1971年には『真夏の夜の夢』でブロードウェイデビューを果たし、演劇界で不動の評価を確立します。
演劇や文化への多大な貢献が認められ、イギリス演劇界の最高峰であるローレンス・オリヴィエ賞を2度受賞したほか、朗読作品でグラミー賞も受賞。
2010年にはエリザベス2世女王よりナイト(Sir)の称号を授与されました。
| 賞名と称号 | 対象と理由 | |
| 1979年 / 2008年 | ローレンス・オリヴィエ賞 | 演劇における優れた助演・主演パフォーマンスに対して(2度受賞) |
| 1996年 | グラミー賞 | 最優秀子供向けスポークン・ワード・アルバム賞(朗読作品) |
| 2010年 | ナイト(Sir)叙任 | 演劇および芸術への長年の貢献により、エリザベス2世女王より授与 |
日本での愛され方と日本語吹き替え(声優)
日本においても『スタートレック』や『X-MEN』は大ヒットを記録し、日本語吹き替え版を通じてパトリック・スチュワートさんの気品ある存在感と声は多くの人々に愛されました。
『新スタートレック』の第3シーズンからスチュワートさんの専属声優を務めたのが麦人さんです。
麦人さんはスチュワートさんについて「ナチュラルな芝居も振幅のある芝居も両方できる素晴らしい俳優」とリスペクトを込めて語っており、自身の声優人生における大きな誇り・財産になったと振り返っています。
また『X-MEN』シリーズのプロフェッサーX役は、初期から大木民夫さんが深みのある声で担当していましたが、大木さんの病気療養に伴い映画『LOGAN/ローガン』以降は麦人さんが引き継ぎました。
その他にも、日本の吹き替え界を支えた名優たちが彼の声を担当し、作品に重厚な魅力を吹き込みました。
| キャラクター | 日本語吹き替え声優名 | 担当作品・備考 |
| ピカード艦長 / プロフェッサーX | 麦人 | スチュワートさんの専属声優。『新スタートレック』第3期〜、『LOGAN』以降のプロフェッサーXなど |
| ピカード艦長(初期) | 吉水慶 | 『新スタートレック』第1〜2シーズンを担当 |
| プロフェッサーX(初期) | 大木民夫 | 映画『X-メン』初期シリーズから長年担当 |
| その他作品の吹き替え | 加藤精三、小林修、納谷六朗、堀勝之祐、上田敏也 ほか | 映画・ドラマの各吹き替え版で重厚な名演を担当 |
まとめ
舞台での古典演劇からハリウッドのSF・ヒーロー超大作まで、60年以上にわたって第一線で走り続けたサー・パトリック・スチュワートさん。
スクリーンや舞台で見せたその荘厳で温かみのある演技、そして不屈の気品は、これからも作品を通じて世界中の映画ファン・演劇ファンの心の中で永遠に生き続けていくことでしょう。
偉大な名優の遺した功績に深い感謝を捧げるとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。



